梛(ナギ)の木は熊野権現のご神木で、熊野を詣でた人々は
熊野三山からお札とナギの葉をいただき帰途につきました。
ナギの葉には熊野の神が宿ってると考えられており、
葉を身に着けることで魔除けとなり、熊野詣での帰り道中を
守ってくれると信じられていました。
ナギの木は、マキ科に属し温暖な土地に生育する
常緑高木です。
熊野の他には、四国や九州、沖縄などに分布します。
5月頃に花が咲き、10月頃には丸い青白色の実が生ります。
葉は独特な構造で、縦に細い平行線が多数あり主脈が
ありません。そのため、縦には簡単に切れますが、
横には強く引っ張ってもなかなか切れないほど丈夫です。
そのことから、「男女の縁が切れないように」とお守りに
される習慣がありました。女性が手持ちの鏡の裏に入れる
習慣があったそうです。また、裏も表も同じようなので、
夫婦で持っていると裏表のない夫婦でいられるとも
言われており、源頼朝と北条政子も、1枚ずつ持って
お守りにしていたと伝えられています。
神話に登場する伝説の八咫烏(ヤタガラス)。
三本の足を持つカラスで、日本サッカー協会(JFA)のシンボルとしても有名です。
熊野三山では、八咫烏(ヤタガラス)が神武天皇を道案内したことから、神の使いとして
祀られています。古事記によると、ヤタガラスは高木大神(たかぎのおおかみ)の命令で、
神武天皇東征の際に道案内するように命じられ、天より遣わされたとされています。
ヤタガラスの存在は歴史の中でも古くからあり、「古事記」「日本書紀」を始め、
キトラ塚古墳の壁画や法隆寺にある玉虫厨子にも書かれています。