◆ モチーフは「ナギの葉」です。


 梛(ナギ)の木は熊野権現のご神木で、熊野を詣でた人々は

 

熊野三山からお札とナギの葉をいただき帰途につきました。

 

ナギの葉には熊野の神が宿ってると考えられており、

 

葉を身に着けることで魔除けとなり、熊野詣での帰り道中を

 

守ってくれると信じられていました。

 

 

ナギの木は、マキ科に属し温暖な土地に生育する

 

常緑高木です。

 

熊野の他には、四国や九州、沖縄などに分布します。

 

5月頃に花が咲き、10月頃には丸い青白色の実が生ります。

 


 葉は独特な構造で、縦に細い平行線が多数あり主脈が

 

ありません。そのため、縦には簡単に切れますが、

 

横には強く引っ張ってもなかなか切れないほど丈夫です。

 

そのことから、「男女の縁が切れないように」とお守りに

 

される習慣がありました。女性が手持ちの鏡の裏に入れる

 

習慣があったそうです。また、裏も表も同じようなので、

 

夫婦で持っていると裏表のない夫婦でいられるとも

 

言われており、源頼朝と北条政子も、1枚ずつ持って

 

お守りにしていたと伝えられています。


◆ 葉の裏面には、三本足のヤタガラスを刻印しています。

 神話に登場する伝説の八咫烏(ヤタガラス)。

三本の足を持つカラスで、日本サッカー協会(JFA)のシンボルとしても有名です。

熊野三山では、八咫烏(ヤタガラス)が神武天皇を道案内したことから、神の使いとして

祀られています。古事記によると、ヤタガラスは高木大神(たかぎのおおかみ)の命令で、

神武天皇東征の際に道案内するように命じられ、天より遣わされたとされています。

ヤタガラスの存在は歴史の中でも古くからあり、「古事記」「日本書紀」を始め、

キトラ塚古墳の壁画や法隆寺にある玉虫厨子にも書かれています。